韓国記1

12月28日、羽田から金浦へ。

私を含め9名が羽田から出発です。

これから十日間の共なる修練の始まり。

金浦空港で昼食をとり沖縄・京都組とも合流。

バスで目的地を目指します。

バスの中で一通り自己紹介がすむと、はい、ここから沈黙ですとのアナウンス。

いよいよです。

ソウルから三時間。夕刻に着いた修道院は韓国の田舎にある庵のような建物。

修道服を着た小柄のシスターが笑顔で迎えてくれました。

さて、そこから始まる九日間は絶対的沈黙です。
 
二人一部屋ですが挨拶もしません。

人間的にはつらいですけれど、

人との仲良しは一旦閉じて、神さまとの親密な対話を目指します。

食事中も沈黙。

二日に一回のシスターとの面談が唯一の話せる時間です。

ところで、修道院のある場所の景色は、私が育った秩父にそっくりでした。

雪もうっすら積もっていて山並みも昔の秩父そのまま。

懐かしい景色に包まれた思いでした。

九日間のリトリートの大まかなスケジュールを書きますと、

毎日午前十時からシスターの「講義」。二時間から三時間に及ぶ時もあります。

午後二時から「共同散策」、全日程のうち二回の「聖書の分かち合い」、

三回あった二十分間の「面談」、最後に「霊的分かち合い」がありました。

毎日三回は礼拝堂で祈ること。ただし一回は一時間以内にすること。

新聞・ラジオ・テレビ・音楽がない中で御言葉と祈りの日々でした。

そして一日三回の食事。

食事はもう一人のシスターとボランティアの女性が手作りする韓国料理。

決して豪華ではなくむしろ質素ですが、素材も味付けも抜群のおいしさでした。

初日の夕食。

一口野菜を食べると野菜が野菜の味をしていました。

おいしさに感動したその直後、

私が生まれて初めて母の乳房から母乳を飲んだその一口目以来、今ここに至るまで、

この口でいただいたものが一本の線になってつながり迫ってきたのです。

不思議なことでした。

つまり私の命の初めから一貫して養って下さっている方への感謝があふれてきたのです。

思いもかけないことでした。

これまで何回食事をしただろうか。

その一回一回の食事を神さまは備えてくださったのだなあと、深く頭を垂れ、目がしらが熱くなりました。

以上、一日目の初めての衝撃。 つづく

同行のK師が撮ってくださいました

同行のK師が撮ってくださいました